私は当社の新人です。 今日もわくわく、楽しいをモットーに「一生懸命」を貫きがんばります。
■徒然なる事
会社のブログにて、徒然なる(暇を持て余す)とは何事かとお叱りを受けるかも知れませんが、
この業界へ飛び込み22年が過ぎ、仕事以外で頭を悩ます幸せから、”徒然なる”万歳と言った
気持ちからの表題なので許して下さい。
さて、少し前にあった出来事で、思い出した話をさせて戴きます。
■20代前半に承った案件
にて、兵庫県のとある邸宅を増改築させて戴きました。家族構成としては、夫婦、小学生の
長女長男の4人家族。本工事のメインイベントとしては、暖炉を設ける事でした。
20代前半で知識は乏しいが、ガッツと元気で何とかしていた時期であった為、諸官庁、協力業者
施主様にまで多大な尽力を戴きながら最終引渡しまでこぎつけました。
■人に自慢したい
と、思える案件の一つでした。ただ、暖炉を据える事は、機器その物の費用もさながら、
暖炉ありきでの増築、不燃、耐火の処理 煙突 と通常の邸宅工事では発生しない工事が
ある事からのイニシャルコストの高さ。さらに、一酸化炭素中毒を防ぐ為の点検、清掃、
使用許可を得るために専門業者との契約から発生するライニングコスト等、将来施主様を
苦しめる「物」になるのではないかとの思いから、施主様が暖炉を持つ事への価値観を
共有出来ないでいました。
■改装から18年後、娘様からのお電話
を、私の古い名刺を頼りに戴きました。内容は結婚する事となり、家を出る前に
「暖炉をもう一度使用出来るようにしたい。」
娘様も小さい時は、冬前から親御様と暖炉の準備をして、火が灯ることを楽しみに
されていたようなのですが、自分の世界が出来るに連れて、その必要性を失ってし
まったようです。
■ただ結婚を前にして、
「家族」を思い直し、その中心に暖炉があった事を強く意識するようになった事から、
親への感謝の気持ちとして、使用出来る状態にする事をプレゼントとしたいが、
営繕の業者等が解らない為紹介して欲しいとのご依頼でした。
■20代の自分と40歳の自分の価値観
の違いを大きく感じる出来事でした。20代の自分は、合理的概念と論理的思考から、
暖炉と言った存在に対して「不要」以外の答えを見出せませんでした。しかし、
40歳の私はこの話を聞き暖炉を持つ価値観を共有する事が出来るのです。
娘様も20代後半となる中、暖炉は確かにそこへ存在感を与えており、取り付けさせて
戴いて良かったと、改めて思いました。
■打合せにて、自分の価値観
を相手に押し付ける事が本当に多かったなと猛省しました。価値観、事柄の必要性は、
人それぞれであり、私の仕事として「設計」「施工」の立場において、時には価値観を
示す必要はあれど、相手の価値観に寄り添いその中で、自分の持てる知識、経験で、
アドバイスする事こそ、「使命」なのでは無いかと感じました。
そして、知ることが出来たのは、まだまだ、賢くなる事が出来るとも感じた良い経験でした。